長谷川 浩 先生を偲ぶ


 本学会顧問の長谷川浩先生が、2017年3月11日にご逝去されました。
 長谷川先生は1930年に秋田県大館市でお生まれになり、1953年に東北大学文学部心理学科をご卒業されました。その後、東京少年鑑別所等で心理技官として勤務されて、1968年からは日本獣医畜産大学助教授、1969年からは東京女子医科大学看護短期大学助教授及び教授、1995年からは東海大学健康科学部教授(2001年まで)を歴任されました。
 先生は本学会の設立発起人のお一人であり、1986年の設立当初から2007年まで7期にわたり、理事を務められました。その間、2001年から2007年まで副会長を務めていただき、また、1999年には「喪失と悲嘆の行動科学」というテーマのもと、東京女子医科大学で開催された第14回学術大会の大会長を務められました。さらに2008年から今日まで顧問としてお支えいただき、31年の長きにわたって本学会の立ち上げと発展にご尽力いただきました。
 著書・訳書は、『共感的看護―いま、ここでの出会いと気づき』(共著)、『危機場面における精神的ケア―ICU・救急を中心に』(共著)、『人間関係論 <系統看護学講座>』(編著)、『精神保健福祉 <系統看護学講座>』(編著)、『行動科学と医療 <講座 人間と医療を考える>』(共編著)、『生と死と家族 <講座 家族心理学>』(編著)、『人間対人間の看護』(トラベルビー著 共訳)、『不安の心理学―その理論と体験』(フィッシャー著 共訳)他、実に多く、論文に至っては数えきれません。
 このように、先生は保健・医療、看護、福祉分野における心理学研究の第一人者でしたが、そのお人柄はとても親しみやすく、誰に対しても親切でした。本学会の会員や理事をはじめとする役員の中にも、先生に育てられた後進は少なくありません。
 先生のご意志を継いでいく決意を新たにするとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

日本保健医療行動科学会 理事一同

<日本保健医療行動科学会雑誌第32巻第1号(2017年6月)より転載>