谷 荘吉 先生を偲ぶ


 去る2014年3月17日,谷先生が逝去されました。胃がんで手術されてから持ち直されて,我々の研究会でも元気なお顔を見せて頂いておりましたのに。心から安らかな旅立ちをお祈りいたします。
 谷荘吉先生は日本保健医療行動科学会の重鎮であり,かなり早い時期からホスピス活動に関わられ「大阪・生と死を考える会」の会長として各地で生と死についての「話し合い」と「わかちあい」に先駆的に取り組まれました。
 先生の教えは我々学会員ばかりでなく市井の人々にも強い感銘を与え,「一度しか講演を聞いてませんが,人生の師と仰いでおります」と告別式でもその早すぎる死を痛む声が多く聞かれました。先生は1931年神奈川県のお生まれで,横浜市立大学医学部,東京大学大学院をご卒業の後,東大医科学研究所助教授,金沢医科大教授を歴任され,1995年ホスピス病棟を立ち上げるべく小松病院院長に赴任され,その後,勢力的に生と死について語り続けられ,我々の学会にも大きな足跡を残されました。それにしても,我々は甲南大学の谷口文章先生に続いて谷荘吉先生まで失ってしまいました。これまで,何か困ったことがあるとお二人の貴重なご意見が我々の指針になってきたように思われます。
 今,我々はまるで父親を失ったような深い悲しみにくれています。それでも失意にくれてばかりはいられません。きっと前に進み続けることが谷先生の御意思であるに違いありません。しっかり前を見つめて進み続けようではありませんか。

日本保健医療行動科学会 理事一同

<日本保健医療行動科学会雑誌第29巻第1号(2014年6月)より転載>